屋根裏部屋のレシピから復活した、バクストン プディング
一昨年くらいから、バクストンに行くと「ねえ、バクストン プディングって知っている?」と聞かれる事が重なりました。
うん?とちょっと興味はひかれた物の、どこに行けば売っているのか、そしてどんな物なのかがわからずにとりあえず後回しにしていましたが、昨年になって、バクストンのオペラ座前にお店(バクストン プディング エンポリアム)をオープンする予定と聞きました。
これは朗報、とお伺いすると、濃いネイビーの壁と、白い木枠のコントラストに塗られたとっても素敵な店内。様々な食品の他に、小さなインテリア製品も扱っています。
にこやかな代表のアランさんに、「バクストン プディング」のお話を聞いてみました。
元々シェフだったアランさん。
シェフ時代から、ベイキング(英語でクッキングというと料理、ベイキングだとお菓子やケーキをさします)の方に興味があったというアランさんがある日、友人から
「おばあちゃんがヴィクトリア女王の時代から代々受け継いできたという古い手書きのレシピ本が屋根裏部屋で見つかったの」
と聞いたとき、ワクワクしたそうです。
早速そのレシピ ブックを見せてもらうと、とても古いのにパイナップルを使ったケーキなどのレシピが見つかります。
ヴィクトリア時代の英国ではパイナップルは富の象徴でした。
というのも、もちろんパイナップルがこの国で自生するのは不可能ですので、最初は船で特別に南国から持参し、そして自宅に温室をもてる裕福な貴族にしか口にできないものだったので、ある意味、ステイタスだったのです。
(この写真の一番上にあるのがご友人のお祖母様に代々伝えられたと言われるレシピブック。この一冊から全てが始まりました。)
パイナップルがレシピにあったのは、きっとご友人のお祖母様の、そのまたお祖母様あたりが、貴族のお宅に仕える料理番だったのではないかという事でした。
そのレシピブックの中で「バクストン プディング」というレシピを見つけ、それを限りなく忠実に再現したプディングを作ると、ちょっと物足りないと感じたアランさん。
レシピをオリジナルに基づきながらも、試行錯誤しながら改良して作った「バクストン プディング」が、たちまち評判になります。
その後は古いレシピ本を見つけては復元し、そこからオリジナルに改良するとたくさんのケーキやプディングが出来ました。
そしてこの「バクストン プディング カンパニー」を立ち上げたのが数年前。
最初はホテルやベーカリーなどに卸していましたが、お店を持とうと決めたらちょうどここ(オペラハウス前)に空き物件があったので、ここにしたんです、と仰るアランさん。
写真一番右が「バクストン プディング」です。
バクストンプディングは、買ってそのままは食べられません。
自宅のオーブンで180度、10分ほど加熱します。
パイクラスト生地に自家製ジャム、スポンジが載せられた上にちょっとパンっぽいサクサク生地がトッピングされています。
よく「ベイクウェル プディングみたいな感じ?」と聞かれますが、いえいえ、かなり違います。
トッピングのサクサク感と、しっとりしたスポンジ、そして爽やかな甘さのジャム。
そしてこのバクストン プディング カンパニーさんはとっても美味しいカスタードも製造しています。
保存剤などは極力使わず、そして出来るだけローカルの食材を使うというモットーでどんどんファンが増えているバクストン プディング カンパニーさんの商品は、「グレート テイスト」賞を始め、様々な賞も獲得しました。
その授賞式で、他の小さな食材や食品の作り手さんと出会い、その素晴らしい商品もバクストン プディング エンポリアムで扱うことにしたのだそうで、イギリス全国から集められたこだわりの食材が並ぶ店内。
オリーブオイル、塩、コーヒーに紅茶、そしてチョコレートなどが並びます。
これらは全て小さな会社がこだわって作った製品で、様々な賞を獲ったものばかりです。
そしてついに、先週土曜には「テイスティング ルーム(試食室)」という名前のティールームがオープンしました。
スタイリッシュなお店の看板と、素敵な店内の様子。
インテリアも素敵だし、何と言ってもお隣のエンポリアムで売られている商品が食べられると言うのが魅力です。
例えばこちら。
エンポリアムで販売されている
「ブラッケスト フォレスト プディング」。
チェリーがたっぷり入って美味しそうな写真です。
それをテイスティング ルームスでオーダーしてみました。
すると。
暖められ、これまた暖められたカスタードクリームと共に供されました。
テイスティング ルームスのシステムは、まず席を見つけ、メニューを決めたら、エンポリアムのレジにてオーダー、お支払いします。
その後、またティスティング ルームスに戻り、あとはサーヴされるのを待つだけ。
ドッグフレンドリーですので、犬が床に居たりしますので、足元は気をつけてくださいね。
さあ、運ばれてきました。
カスタードクリームをかけて、頂きます。
ふわっふわで美味しい!すっごく美味しいので、思わず「何が入ってこんなに美味しいのかしら!」と唸る美味しさ。
カプチーノも美味しいです。
こちらもこだわりのローカルのコーヒー会社から買っているコーヒー豆で淹れられています。
勿論、このコーヒーもエンポリアムで販売されていますし、テーブルの上に置いてある可愛らしいジャーに入ったソルトとペッパーも販売しています。
これが「テイスティング ルームス」と名付けた所以なのですね。
サービスもよく、心地よく過ごしながら頂くプディングとカプチーノは格別でございました。
今までのお気に入りはナンバー6 ザ スクエアという素敵なティールームだったのですが、これからはバクストンでお茶の時間をどこで過ごそうか、迷っちゃうなあ、と嬉しい悩みが出来ました。
お客様をお連れする日が楽しみです。
バクストン プディング カンパニーのウェブサイトはこちら。
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